野生の島のロズ感想〜不安でも信じて手を離す愛〜

映画

2025/2/23に野生の島のロズを見てきました。

グラフィックがとても綺麗で、時間があれば見に行きたいなあと頭の片隅に置いてあった映画。
評判がとても良いのに、あっという間に上演回数が無くなっていって、慌てて見に行きました。
結果、めちゃくちゃ泣きました。隣の席の人も泣いてました。

みんな、ロズを見てくれ!!!!!!!!!

以下ネタバレあり感想です。

〜あらすじ〜
人間のアシストロボットであるロズは無人島に漂着します。
無人島の動物たちは異質な存在であるロズを受け入れません。
しかし感情のないロズは受け入れられなくても、やるべき仕事を探して長い時間をかけて動物たちの言葉を学習します。
そしてひょんなことからガンの雛キラリを育てる「仕事」をすることになり、キツネのチャッカリと共に2匹と1台(?)での生活が始まります。

この映画、ロズを中心とした異種族間の友情、親子愛、キラリを中心とした成長物語の旨みがこれでもかと詰まっていて、中盤からクライマックスにかけて、泣きポイントが怒涛のように押し寄せてきます。

私が最初に泣いたのは、飛ぶ練習を始めたキラリが、自信を失って不安な様子を見せた時、ロズがかけた言葉。

「彼(キラリの先生を請け負ったハヤブサ)にできて、あなたにできないことはない」

ロズ(親)はキラリ(子)が飛ぶことができると何の根拠もなく信じていました。
愛の定義はたくさんありますが、私はその一つが「信頼」だと思っています。

ロズはチャッカリに何度も言われるように、過保護です。
危険が迫れば自分の足が取れようとも助け、溺れないように自分の手をそっとキラリの後ろに控えさせたりします。

ロズにとっては、空は自分の手が届かない、何かあっても助けてあげられない空間。
過保護なままであれば、「飛ばなくていい」「無理に渡る必要はない」と自分の手の届く範囲で守り続けることができたはずです。

でもロズはそうしなかった。
ピンクシッポの母が、「時には尻を叩くのも親の務め」と言ったように、ロズはキラリが一人前になれるように、居場所を見つけられるように「信頼」という形でキラリの尻を叩きました。

同じような親子愛を、実写の「リトルマーメイド」のトリトン王から感じたことがあります。
トリトン王は娘アリエルが人間になることを激しく反対しますが、最後は「娘がいなくなるのは寂しい」といいながら、娘を人間に変えます。

ロズもトリトン王も同じように、子どもがいなくなる寂しさも何かあった時に守れなくなる不安もあったと思います。
でもどちらも子どもの幸せを信じて、もう自分の庇護が無くても大丈夫だと信じて手を離します。

この「自分の感情よりも相手の幸せを信じて手を離す」というのは、親の子離れでもあり、子どもが1人の存在として自立する物語であるからこそ、こんなに心に刺さるのかなと思いました。

そして、ロズがかけた言葉は、キラリの自立に引き継がれます。
キラリが群れを率いて、危機から脱する時、彼は仲間たちにこう言います

「僕にできて、君たちにできないことはない!」

自立とは、人に頼れるようになることだと聞いたことがあります。
他者に頼るには、その人を信頼する必要があります。

ロズの言葉は、キラリの自立をうながし、居場所を作るきっかけになりました。
離れていても、物理的に助けられなくても、ロズはキラリを守り、助け続けていました。

他者を信じるってすごく難しいことです。
特にロズやキラリは迫害されてきたので、余計に難しいはず。

それでも彼らは信じることを辞めませんでした。

それはきっと、たった1人でも、自分を信じてくれた存在がいることを知っている強さがあるからではないかなと思います。

信じてくれた存在がいれば、他が何と言おうと、それを支えに生きていけます。

キラリにとって、それはロズであり、チャッカリであり、サンダーバードであり、クビナガであるのでしょう。
ロズにとってはキラリであり、チャッカリであるのでしょう。

野生の島のロズは、最後はロズがあるべき場所に戻るエンディングで終わります。

このエンディングを最初に見た時、私は「そりゃそうだよな」という思いと、「それでも島でハッピーエンドを見たかった!!!」と感じました。

ロズはいつか島に帰る。
でもそれはいつかはわからない。
もしかしたらロズを知る島の動物がみんな居なくなった後になってしまうのかもしれない。
そうしたらこの物語はハッピーエンドでなくなってしまう。

でも、ロズがいつ島に帰れるかどうかは大きな問題ではないのだと気づきました。

ロズは、あの島に自分を待っていてくれている存在がたくさんいることを知っています。
「いつか島に帰る」という約束を信じて送り出してくれた、たくさんの仲間たち。

きっと仲間たちもロズが自分たちが生きている間に帰れない可能性を知っています。
だから、お伽話にして、ロズのことを子どもたちに伝えて、ロズがいつか帰ってきても寂しくないように居場所を守り続けています。

ロズと島の仲間たちは、離れていても、二度と会えなくても、島で一緒に過ごした時間を支えに、お互いを信じ助け合えるのだと思います。

自分を信じてくれる存在がいることが、誰かを信じる支えになる。

人生のほんの一瞬しか交わらない関わりであったとしても、その一瞬が永遠に支え続けてくれる。
野生の島のロズは、そんな強さを教えてくれる映画だったなあと思いました。

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